寒露の候とは？いつ使う？意味や季語としての役割を詳しく解説！

秋が深まり、朝晩の冷え込みが少しずつ増してくる10月。そんな季節にぴったりの時候の挨拶が「寒露の候」です。ビジネスメールや手紙を書く際、「季節感を大切にしたい」「フォーマルな文章にしたい」と思うことはありませんか？

この記事では、「寒露の候」の意味や使う時期、手紙やメールでの正しい使い方について詳しく解説します。適切な表現を身につけて、相手に心のこもった挨拶を伝えましょう！

寒露の候の基本情報
寒露の候はいつ使う？時期や季節を解説
寒露の候の意味を深掘り！語源や由来を知ろう
寒露の候は季語？俳句や短歌での使われ方
寒露の候を使った手紙の例文とビジネスマナー
まとめ

寒露の候の基本情報

寒露の候とは何か？

「寒露の候（かんろのこう）」とは、秋が深まり、朝晩の冷え込みが一層増す時期に使われる季節の挨拶です。「候（こう）」は「時候（じこう）」を意味し、手紙やビジネス文書でよく用いられる表現です。特に、日本の伝統的な二十四節気の一つである「寒露（かんろ）」の時期に合わせて使われます。

寒露の候は、秋が本格化し、草花に朝露がつくようになる様子を表しています。この時期になると、朝晩の冷え込みが強まり、日中も過ごしやすい気温になるため、秋の風情を感じやすくなります。

「寒露」の時期はいつ？

「寒露」は二十四節気の一つで、毎年10月8日頃から10月22日頃までの期間を指します。この時期は、秋の収穫が本格化し、紅葉が始まる地域も増えてくる頃です。特に、朝晩の気温差が大きくなり、草木に冷たい露が降りることが「寒露」の名の由来とされています。

「候」とはどういう意味？

「候（こう）」は、手紙やビジネス文書などで使われる時候の挨拶の一部です。「○○の候」とすることで、その時期の自然の様子を表し、季節感を伝えることができます。例えば、「新春の候」は冬の終わりから春の始まりを、「暑中の候」は夏の盛りを指すように、「寒露の候」は秋の深まりを表す表現となります。

寒露の候はどんな場面で使われる？

寒露の候は、主に手紙やビジネスメールなどの冒頭の挨拶で使われます。特に、秋の季節感を大切にするフォーマルな文書や目上の方への書状などで用いると、丁寧な印象を与えます。

また、学校や会社の公的な文書、季節の挨拶を含むスピーチなどでも使われることがあります。秋の訪れを意識させる表現なので、10月の初旬から中旬にかけて使用すると適切です。

ビジネスや手紙での寒露の候の使い方

ビジネス文書や手紙で寒露の候を使う際は、次のような例文が考えられます。

例文（ビジネスメール）

寒露の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、先日ご相談させていただいた件についてですが……。

例文（手紙）

寒露の候、皆様におかれましてはお変わりなくお過ごしのことと存じます。
朝晩の冷え込みが厳しくなってまいりましたが、ご自愛くださいませ。

このように、「寒露の候」は時候の挨拶として便利に使うことができます。ただし、あまりにカジュアルな場面では堅苦しく感じられるため、用途に応じて適切に使い分けましょう。

寒露の候はいつ使う？時期や季節を解説

寒露の時期は具体的にいつ？

寒露は二十四節気の一つで、毎年10月8日頃から10月22日頃の約15日間を指します。この期間は、秋の中盤にあたり、夏の暑さが完全に収まり、朝晩の気温がぐっと下がる時期です。

特に、寒露の頃になると、秋晴れの日が増え、空気が澄んでくるのが特徴です。また、地方によっては紅葉が始まり、秋の美しい風景を楽しめるようになります。

二十四節気における寒露とは

二十四節気とは、1年を24の期間に分けた暦のことです。寒露はその中で秋分（9月23日頃）の次にあたる節気で、次の霜降（そうこう、10月23日頃）へと続きます。

二十四節気において寒露は、「草花に冷たい露がつくようになる頃」とされ、秋の深まりを示す節気として知られています。

暦の上での寒露と実際の気候

暦の上では寒露の時期は10月初旬ですが、地域によって気温や天候には違いがあります。例えば、北海道や東北の山間部ではすでに朝晩がかなり冷え込み、霜が降りることもあります。一方で、西日本ではまだ日中は暖かい日が続くことも多く、寒暖差が大きくなるのが特徴です。

寒露の時期に見られる自然の変化

寒露の頃になると、次のような自然の変化が見られます。

紅葉の始まり：標高の高い山々から徐々に紅葉が進む
秋の実り：稲刈りが本格化し、柿や栗などの秋の果物が旬を迎える
秋の虫の声：コオロギや鈴虫の鳴き声が聞こえる
空気の乾燥：湿度が下がり、風が冷たく感じるようになる

寒露の候を使う適切な期間

「寒露の候」は、寒露の時期である10月8日頃から10月22日頃までが適切な使用期間とされています。ただし、実際の気候に合わせて少し前後して使うことも可能です。例えば、10月上旬の手紙やメールの挨拶文に使うのが一般的です。

もし10月下旬や11月になっても使いたい場合は、「霜降の候」や「晩秋の候」などの表現に変えると、より自然な印象になります。

寒露の候の意味を深掘り！語源や由来を知ろう

「寒露」という言葉の意味

「寒露（かんろ）」とは、「寒い」＋「露」 という言葉の組み合わせです。文字通り、冷たい露が降りる季節を指します。秋が深まり、夜や早朝の気温が下がることで、草木や地面に朝露が付きやすくなることから、この名前がつけられました。

また、「寒露」は単に冷たい露を指すだけではなく、「秋が深まっていく様子」を象徴する言葉でもあります。日中はまだ過ごしやすい気温でも、朝晩はひんやりとし、冬の気配が少しずつ感じられるようになる頃です。

なぜ「寒露」と呼ばれるのか？

寒露という言葉が使われるようになったのは、古代中国の暦法（れきほう） に由来します。二十四節気の考え方は中国で生まれ、日本にも取り入れられました。

古代の人々は、季節の移り変わりを農業や生活に役立てるため、自然の現象を観察しながら暦を作成しました。「寒露」は、その中で秋の中頃にあたる節気として名付けられたものです。

「寒露」に対して、同じ二十四節気には「白露（はくろ）」があります。白露は9月上旬（9月8日頃）にあたり、まだ暖かい時期の露を指します。これに対して「寒露」はより冷たくなった露を指し、秋の深まりをより強く感じさせる言葉となっています。

昔の人が捉えた寒露の季節感

昔の日本人は、寒露の時期をどのように感じていたのでしょうか？古くから、日本では季節の変化を細かく捉え、農業や暮らしに役立ててきました。寒露の時期は、稲刈りが進み、秋の実りが最高潮を迎える時期でもあります。

また、平安時代や江戸時代の文献にも、寒露に関する記述が見られます。例えば、和歌や俳句では、寒露の時期の美しい情景を表現した作品が多く残されています。

例：平安時代の和歌

露しげき秋の野風にたちぬれば月も冷たき影を見せけり

この和歌は、「露がたくさん降りた秋の野原に風が吹くと、月の光までも冷たく感じられる」という情景を詠んでいます。

農作物や生き物にとっての寒露の時期

寒露の頃は、農作物にとっても重要な時期です。稲は収穫の最盛期を迎え、果物では柿や栗、ぶどう、りんごなどが旬になります。

また、動物たちも冬に備えて活動を活発にする時期です。渡り鳥が南へ向かい始めたり、リスやクマが冬眠の準備を始めたりするのもこの頃です。特に昆虫の世界では、秋の虫の鳴き声がピークを迎えます。

寒露の頃に見られる自然の変化

自然現象	具体的な変化
露の降り方	朝露が多くなり、葉や地面が濡れる
紅葉	高い山から徐々に色づき始める
渡り鳥	ツバメが南へ、ガンやカモが北から飛来
農作物	稲刈りが本格化、柿や栗が熟す

寒露と関連する日本の伝統行事

寒露の時期には、秋に関連する伝統的な行事が行われます。

十三夜（じゅうさんや）（10月中旬）
- 日本独自の月見の風習。栗や豆を供える「栗名月」とも呼ばれる。
秋祭り（全国各地で開催）
- 収穫を祝うための神事やお祭りが多い。特に京都の「時代祭」が有名。
運動会・体育の日（10月の第2月曜日）
- 秋の爽やかな気候を生かしたスポーツイベントが多い。

寒露は、ただの季節の変わり目ではなく、日本の文化や暮らしに深く関わる時期でもあるのです。

寒露の候は季語？俳句や短歌での使われ方

寒露の候は季語として使えるのか？

「寒露の候」は手紙の挨拶で使われる言葉ですが、俳句や短歌の中では**「寒露」自体が秋の季語** として使われます。「候」という言葉は形式的な表現のため、俳句では使わず、「寒露」単体で用いられます。

俳句・短歌における「寒露」の使い方

俳句や短歌では、「寒露」は秋の終盤に近い風景を描写する際に使われることが多いです。例えば、露が冷たくなり、秋の深まりを感じさせる風景を詠むときにぴったりの季語です。

俳句の例

寒露降る草のきらめき朝日映え
（かんろふるくさのきらめきあさひばえ）
→ 朝露に光る草の美しさを表現した句。

短歌の例

寒露降り静かに染まりし紅葉かな
（かんろふりしずかにそまりしもみじかな）
→ 露が降りて、紅葉がひっそりと色づく情景を詠んだ歌。

「寒露」を用いた有名な俳句や短歌

有名な俳句や短歌にも、「寒露」を使ったものが多くあります。江戸時代の俳人や歌人たちも、秋の冷え込みや露の美しさを表現する際に「寒露」を取り入れていました。

松尾芭蕉の句（意訳）

「秋風に露の寒さや野辺の花」
→ 秋風が吹くと、露の冷たさが際立ち、野の花も震えるようだ。

寒露の時期は、風情のある言葉が多く生まれる季節なのですね。

寒露の候を使った手紙の例文とビジネスマナー

寒露の候を使う場面と適切な表現

「寒露の候」は、10月上旬から中旬（10月8日頃〜10月22日頃） に使う時候の挨拶です。特に、手紙やビジネスメールの冒頭に入れることで、季節感を大切にした丁寧な印象 を与えることができます。

使う場面としては、以下のようなケースが考えられます。

ビジネスシーン
- 取引先への挨拶メール・お礼状
- 顧客やクライアントへの手紙
- 社内の通達や通知文書
フォーマルな手紙
- 目上の人や恩師への手紙
- お世話になった方への挨拶文
- 結婚式の招待状やお礼状
カジュアルな手紙やメール
- 友人や家族への季節の便り
- 趣味の文通や俳句・短歌の交流

時候の挨拶として「寒露の候」を使うと、相手に季節の移り変わりを感じてもらう ことができるため、特にフォーマルな場面では好まれます。

目上の人への手紙での使い方

目上の人や恩師に手紙を書く際は、「寒露の候」を用いた丁寧な挨拶が適切です。

例文（目上の方への手紙）

拝啓
寒露の候、〇〇様におかれましては益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。
さて、先日はご多忙の折にもかかわらず、ご丁寧なお心遣いをいただき、誠にありがとうございました。
朝晩の冷え込みが厳しくなってまいりましたが、くれぐれもご自愛くださいませ。
敬具

このように、拝啓・敬具 を用いた形式で書くと、よりフォーマルな印象になります。

ビジネスメールで寒露の候を使う例文

ビジネスメールでは、簡潔かつ丁寧な表現 を心がけることが大切です。

例文（取引先へのメール）
件名: 【ご連絡】〇〇の件につきまして

○○株式会社 ○○様
寒露の候、貴社ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
さて、先日ご依頼いただきました〇〇の件につきまして、進捗をご報告申し上げます。
（以下、本文）
朝晩の冷え込みが増してまいりましたが、どうぞご自愛くださいませ。
敬具

ビジネスメールでは、「寒露の候」の後に「貴社ますますご清祥のこととお喜び申し上げます」などの定型文を加えると、よりビジネスらしい文章になります。

寒露の候を使う際の注意点

使う時期を間違えない
- 「寒露の候」は 10月8日頃〜10月22日頃 のみ使用可能です。
- それ以降は「霜降の候」や「晩秋の候」など、より適切な表現を使いましょう。
カジュアルな文章には向かない
- 「寒露の候」は フォーマルな手紙やビジネス文書 でよく使われるため、親しい友人や家族とのメールではやや堅苦しく感じることがあります。
- もっと自然な表現を使いたい場合は、「朝晩の冷え込みが増してきましたね」「秋が深まってきましたね」などのフレーズの方が適切です。
「寒露の候」の後に具体的な挨拶を加える
- 例：「寒露の候、貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます。」
- 単に「寒露の候」だけでは不自然なので、その後に相手を気遣う表現を加えるとより洗練された文章になります。

シチュエーション別・寒露の候の挨拶文

シチュエーション	例文
取引先への挨拶	寒露の候、貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
目上の方への手紙	寒露の候、ご健勝にてお過ごしのことと存じます。
社内の通知	寒露の候、皆様にはますますご活躍のこととお喜び申し上げます。
お礼状	寒露の候、先日は温かいお心遣いをいただき、誠にありがとうございました。
友人・親しい人向け	寒露の候、朝晩の冷え込みが増してきましたね。お元気ですか？